「ウチは結局、いい商品を並べることにしている。それで、いい商品というのはしっかりとした値段をつけないと、ほんとに‐いっぱいの値段をつけないと集まらない、お客さんは手放しませんから。だから、ウチは、あそこは買い取りがダントツにいいと、いつもお客さんから褒められるんです」質屋系のあるショップのオーナーは、そう語る。この店では、店内に別個に買い取りセンターを設け、詳細な「買取価格表」をつくったり、インターネットを利用して買い取ったり、きめ細かなサービスを展開している。買い取り価格を高くすれば、良質の商品がたくさん集まるのは当たり前である。が、今度はそれだけ粗利か下がるのも、これまた当然の結果であり、商売の儲けの原則からいえば、意に適ったやり方とはいい難い。が、そんなことは、もちろんこのオーナーは十分に承知している。知っていながらその商売の仕方を変えないのは、その分を商品回転率で補填すればいいという、明快な意図があるからだ。つまり、それだけ顧客を動員して販売力を高めれば、粗利か減少しても補えるという考え方である。その結果、この店が採用したのがコンピュータで顧客を管理する、会員制システムである。さまざまな特典を設けて、顧客の“囲い込み”を図ったわけで、現在、一万五〇〇〇人の会員を擁するまでになっている。一度来店した顧客を二度、三度と呼び込む、いわゆるリピーターをいかに増やしていくかは、商売を始める場合、ひじょうに大事なことである。一見(いちげん)の客というのは、チラシを一度打てば、ある程度は集まってくる。が、どんな業種・業態の店でもそうだが、商売は、それだけでは成り立たない。繰り返しやってくるリピーターがいることで、商品の回転も早くなって儲けも出てくるのである。したがって、これは量販店やチェーン店ならよくやっていることだが、会員制システムをとってリピーターを増やしていくのは、堅実な商売の仕方といえる。そして、そういうリピーターが商品を買い上げるだけでなく、質のいい商品を持ち込んでくるという、買い取り客にもなるわけである。